2013-04-25

映画「二十四の瞳」

 久しぶりにビデオで、木下恵介監督の映画「二十四の瞳」を観た。インターネットで無料鑑賞できるから、便利になったものだ。
 第二次世界大戦の前と後で、瀬戸内海の小豆島に生きる高峰秀子さん演じる大石先生が、時代に翻弄されながらも12人の教え子の成長と相まって、社会と正面から向き合い人間らしく生きていく感動作である。何回も熱い涙を流しながら画面を追った。
 作者の壺井栄さんは、小豆島出身だが小学校しか出てなく、子どもから大人までを読者の対象とした家庭小説としての創作ではあるが、事実を積み上げるノンフィクションやルポよりも、社会の動きや人間の在り方の本質を見事に描いている。1952年で栄さんが52歳のときに仕上げた本だから、それまでの全人生をつぎ込んで仕上げたのだろう。「戦争反対!」と声高に叫んでいるわけではないが、田舎の1女性の素直な生き様を通し、いかに戦争が非人間的であるかを描き、じんわりと静かであるが力強く反戦を訴えている。
 東電福島第一原発により、これまでになく不条理な核社会となった我が国において、「二十四の瞳」のように政治スローガンを全面に出すのでなく、人間性や倫理のレベルから反核を拡げることは意味がありそうだし、その精神は次の福島をテーマのルポの本にぜひ
活かしたい。

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