2014-10-09

障害者が活躍する洗びんセンター

 断片的な話は何回か聞いていたが、障害者が活躍する洗びんセンターは20周年を迎え、東京の郊外にある昭島市に足を運んで話を聞いてきた。88人もの障害を持った人たちが中心となって、家庭で利用した再利用可能なビンを洗浄し、それをメーカーなどに戻して再び利用している。大きさ、形、色などの違いで80種類ほどあるビンの、まずキャップを外し、大きな洗浄機で洗ってきれいにし、1本ずつ点検して出荷する。環境に優しい大切な仕事を、障害者たちはもくもくとこなしていた。工賃と呼んでいる手取りは、人によって異なるが2013年の平均で月3万9000円というから凄い。一般の給与に比べると少ないが、共同作業所では1万円以下があたりまえであり、経営の工夫をしている結果だろう。
 20周年を記念した単行本『スタート ラインズ』(社会福祉法人きょうされん 萌文社 定価1111円)を読むと、障害を持った人たちがこの洗びんセンターで働くことによって、いかに楽しく成長してきたか良くわかる。7月の同式典では、構成詩「ゆめをかたちに」を発表しているから、文化面でも大きく羽ばたいている。
 運営しているきょうされんの本部を中野区に訪ね、リーダーの1人である藤井常務からも話を聞いた。20年前に東都生協と連携し、全国の仲間にも支援を受けつつ手探りで運営してきたが、協力すればここまでできると大きな自信になっている。ビン商品の減少する中で課題も多いが、環境資源の視点からもぜひこれからも発展してほしい。
 全盲の藤井さんから、著書『見えないけれど観えるもの』(やどかり出版 定価2000円)をいただき一読した。1990年から2000年初頭にかけ障害者問題について書いたもので、それぞれの本質をていねいに紹介している。三流の政治が進む日本において、いかに障害者問題がお粗末にされているか知り深く教えさせ
られた。
 この2冊の本は、ぜひ健常者にも読んでもらいたい。
 

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