2014-12-16

ケーナ演奏者の八木倫明さんに会って

 久しぶりにケーナ演奏者の八木倫明さんに上野で会い、居酒屋で一杯やりつつ楽しく懇談した。最近のNHKの番組で2回も放映があり、「広い河の岸辺」の訳者であり、被災地でのミニコンサートを含め、各地に出かけて演奏会をしているとのことであった。11月には仙台での日本うたごえ祭典で、歌手のクミコさんと600名の女性合唱団と一緒に舞台へ立ち、6400名の観客を魅了した。以前のグループは解散し、今はハープの若い女性と一緒の演奏会が多いそうで、それも2人の男性のボランティアで運営しているとのこと。さらには月に平均して10万円の収入で生活も苦しく、映像には豊島区のアパートで暮らし、その日の夕食は豆腐が1丁で侘びしく食べていた。
 懐かしくて連絡をとり、3時間ほど話を聞くことができた。スコットランド民謡の「The Water Is Wide」を、なぜ「広い河の岸辺」と訳したのか聞くと、原文だと自分の居場所が分からないので、あえて「岸辺」を付けたとのこと。もらった歌詞の下には、「大きな困難を乗り越えるための小さな希望と絆」と書いてあった。
 このタイトルを見たとき、親しくさせてもらった亡き住井すゑさんの書いた「橋のない川」を思い出した。天皇制と部落問題に楔を打ち込むために書いた名作で、込めた想いは八木さんと同じである。絶望に近い現状の中でも、自らの立ち位置を忘れずに生きることを呼びかけている。
 被災地の演奏には、カンパを集めて年に3回ほど出かけている。ボランティアの車に乗り、3泊4日ほどの旅で、1日に何回も仮設住宅の集会場などで演奏するそうだ。春になればまた出かけるとのことで、ぜひ同乗させてほしいとお願いして了解をもらった。楽しみである。
 写真は、「コンドルは飛んで行く100年記念アルバム」のCDである。「コンドルは飛んで行く」の歌はよく知っていたが、これが炭鉱労働者の闘いの歌とはまるで知らなかった。
 元々八木さんはフルートの演奏であったが、自分には自然の素材のケーナの音色が合っていると切り替えて今日にいたっている。八木さんを通してもっと音楽に触れたいし、音楽を通した被災地の支援にも関わりたいものだ。