2016-10-21

飯舘村ですすむ放射性除染廃棄物の焼却

 人口6200人の小さな飯舘村に、放射性物質を含んだ除染した廃棄物を焼却する施設が、小宮と蕨平(わらびだいら)の山の中に2つもある。もっとも名称は異なり、小宮はクリアセンターで、蕨平は減容化施設と称している。
 放射能に汚染された広大な地域では、今も除染作業が繰り広げられており、集めた廃棄物は1㎥の黒いフレコンバックに積め、各地に山積みしてある。飯舘村ではその数が230万個にもなり、かつての水田や畑などに3段から5段で高く積み上げてある。その廃棄物の約3割は枯葉や樹木などの可燃物であり、これを燃やして容積を減らしている。
 小宮の焼却炉の前に小高い丘があり、長靴をはいて登った。持参した線量計では、施設の正面で1μSv/h以下であったが、丘の上では2μSv/hをこえた。国は「ほぼ完全に除去する」バグフィルターを設置していると説明しているが、せいぜい7割前後と指摘する人もいる。どちらにせよ100%除去でないのだから、焼却炉から流れる煙に含まれる放射線物質がこの丘などに影響しているのだろう。丘の上の植物の葉が、いくつか白くなっていて気になった。丘の反対側には、山をいくつも削り、それまでに見たこともない広さにフレコンバックを積み上げてある。
 南相馬市に近い蕨平の施設はさらに巨大で、400億円をかけて造り、飯舘村だけでなく
周辺の市町の廃棄物まで燃やしている。再選された菅野村長が、「村民が避難してお世話になっているから」と広域の処理に協力して昨年末からスタートした。
 ここから出る煙にも、当然のことながら放射性物質が微量でも含まれているので、来春に避難解除となって帰村する人たちにも、風向きによっては降り注いでしまう。
 さらに驚くのは、ここには焼却炉の横に仮設資材化施設があり、焼却灰等を資材に再利用する高熱処理の実証実験が実施中である。全国の原発の敷地内では、今でも100Bq/kg以上は放射性廃棄物として管理しなければならないのに、除染廃棄物の基準値を80倍も緩和して8000Bq/kgに引き上げ、それ以下であればは建築や土木の資材として再利用する計画である。
 都合の悪いことを隠ぺいする現政権は、いずれこっそりと沖縄の辺野古あたりでで使うことも考えているのではないだろうかと、私はふと心配になった。
 事は飯舘村だけでなく、国民全体の大問題である。以下の写真はどれも2016年10月17日に撮影したものである。
小宮の焼却炉
ダメージを受けた葉
蕨平の焼却炉(右)と灰固形化物一時保管庫(左)




2016-10-18

飯舘村の村長選を終えて

 10月16日に投票となった飯舘村の村長選は、挑戦した元村議の佐藤八郎さんに600票ほどの差をつけて現職が当選した。国や村は年間20ミリ・シーベルトで問題がないとし、来年の4月に長泥区以外の居住規制を解除する。しかし、現地のモニタリングでは、毎時0.5から2.0マイクロ・シーベルトを示し、とても人間が帰って安心して健康に暮らすことができる環境ではない。このまま推移すれば、国際法や国内法でも1ミリ・シーベルトとしているのに、20ミリ・シーベルト受忍論が福島にならって日本中に適応されかねない。また昨年から飯舘村ではじめた除染ゴミの焼却は、出た灰を固形化して資材にし、いずれ全国の公共施設などで使う準備をしはじめている。こうした動きは飯舘村だけへの影響にとどまらず、日本人全体に大きく関わる。
 そこで6日の告示前の4日から私はボランティアで現地に入り、佐藤候補の応援を17日までしてきた。
 負けたとはいえ八郎さんは、1542票も獲得し、これは3年前の村議選の約3倍である。また支持者の中には、来年の村議選に立候補して、暴走する村長の姿勢を厳しく追及すると語ってくれた方が2人もいて嬉しかった。道理と社会正義に沿った取り組みは、いつかはきっと大きな輪になると私は信じている。