2018-01-12

アウシュビッツを訪ねて(下) ポーランドの旅3

 アウシュビッツ訪問は、かつてベトナムで蛇牢獄やおびただしいホルマリン漬けの奇形児を観たときと同じくそれは重たかったが、同時にどんな困難な中でもそれらを、人間らしく乗り越えようとする人が少数でもいたことは、やはり人間は素晴らしいと感じる。
 殺されそうになった妻子のある男性に替わり、私は独身だからと身代わりになって殺されたコペル(コルペ)神父がいた。
 個人での抵抗だけでなく組織的な秘密組織もでき、内情を外部に知らせるとか、さらには昼間働いていた軍需工場から火薬を少しずつ運び、たとえば第二収容所の第4焼却炉を壊したとのことでもある。もちろん見つかればすぐに処刑で、多数の抵抗者が殺されたが、それでも抵抗は続いた。
 虫けらのようにただ殺されることなく、人間的に生き延びた一人が精神科医のヴィクトール・エミール・フランクルであった。収容される前に完成させていたロゴセラピー(意味中心の療養法)に基づき、どんなに肉体的や精神的に追い詰められても、人生から何かを私は求められていると考えれば、人間らしく生き抜くことができることを実証した。フランクルの著『夜と霧』や『それでも人生にイエスという』は、東日本大震災の後もより多くの人が愛読しているというから、やはり一人ひとりの人間は素晴らし力を持っている。フランクルの人間性尊重の共生思想で、ぜひ復興支援本8冊目を書いてみたい。今の私に人生から求められている1つであり、ぜひ全力で応えたいと旅の最後の晩に安いワインを飲みつつ念じた。

0 件のコメント:

コメントを投稿