2018-04-06

ルポルタージュの恩師 柳沢明朗さん逝去

 まだネパール・ツアーの疲れがとれずスッキリしない時に、思いがけない訃報が届いた。所属する現代ルポルタージュ研究会の長年の顧問とし、社会の見方やルポの書き方などについて、それは厳しくもありまた優しく話してくれた柳沢明朗さんであった。
 届いたのは断片的な情報で、関連する人に電話を何本もかけ、やっとだいたいのことが分かってきた。それらによると、柳沢さんは4月5日午前3時に入院先で、肝臓がんのため亡くなった。84歳。本来であれば今後の対応をする奥さんは、何と1月に骨折で入院して7月までかかるというから無理で、とりあえず家族葬を予定しているそうである。
 私がルポ研に入れさせてもらい柳沢さんに会ったのは、1980年に友人が鉄道自殺をしてすっかり落ち込んでいた頃である。それまでは小説などを書いていたが、社会と切り結び事実で語るルポの魅力にはまり、毎月の例会やその後の飲み会がそれは楽しみであった。それらが1986年のルポによる処女作へとつながり、今の私にもなっている。
 あくまで社会の弱者の側に立ち、とにかく足を使って現場へ入って書き続けること。教えてもらったルポの基本を、これからも大切にして東日本大震災の復興などを描き続けたい。
 いつの日か天国とやらで再会したとき、書き方がまだ足りないと叱られずにまた美酒を飲み交わしたいものだ。いや、哲学者の池田晶子の説に従えば、柳沢さんの体は確かになくなったかもしれないが、もともと目に見えない柳沢さんの本質はなくなっていない。少なくとも私の魂の中でこれからも一緒に生きていくので、これからもよろしくお願いします                     
 ともあれほんとうに長い間ありがとうございました。合掌      
(写真は2015年5月に横須賀の柳沢宅で)

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