2018-07-20

驚きの高裁 細川牧場裁判の二審判決

 7月19日の13:15より東京高等裁判所において、細川牧場裁判の二審の判決があり傍聴した。猛暑の中で駆けつけたので、法廷に入ってもしばらく汗をハンカチでぬぐった。
 時間になり黒服姿の3人の裁判官が入ってきた。座るなり中央の初老の小柄な裁判官は、書類を確認した後で「主文。棄却する」と無表情に話し、「後は書面で」と付け加えて終わった。時間にすると10秒ほど。20人ほどの支援者の中からは、「それでも人間か!」「恥を知れ!」などの罵声が飛んだが、裁判官はとくだん表情を変えることはなかった。
 細川牧場裁判は、3・11の被災後に原発事故の放射能汚染により、全村に避難指示が出た飯舘村で、なぜか対象にならなかった馬約100頭をずっと守り飼育してきた細川さんが、餌代などを東電に求めた裁判である。汚染した牧草を食べさせるわけにいかず、餌代だけでも莫大な金額になるが、今年のはじめに出た一審の判決は信じられない0円であった。 
 すぐに控訴し、4月に控訴理由の書面を出して、もうこの7月で結審であった。地裁で不十分な点を高裁では新たに調べて判断するものと私は思っていたら、まったくせずに「却下!」である。地裁の判決文には事実誤認が、いくつもあったにもかかわらずである。聞くとこうした乱暴なケースが最近はあるそうだ。こんな国民をバカにしたことをしていると、法曹界は内部から必ず崩壊する。
 実は細川牧場では震災後に原因不明で馬が急死し、何と40頭近くも続いている。その中には仔馬もたくさんいて、ある朝のこと奥さんが牧場にいくと、カラスが仔馬の目の玉をくり抜いていてショックを受けた。そんなこともあり優しい奥さんは心を病み、今は福島市内にある精神病の病院で治療を受けている。
 参加した支援者での相談の場で私は、被災者の自殺が福島県ではすでに99人にもなって岩手と宮城の合計に近いことに触れ、馬だけでなく人の命をも守る取り組みへの拡大を訴えた。
 運動を組み立てなおすとなると、多くの時間や費用も必要になってくる。改めて8月7日に有志で相談することになった。困難は少なくないが、こんな理不尽なことをそのままにするわけにはいかない。
弁護士会館地下のレストランにて細川さんを囲んだ激励会 
 

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