2013-02-21

円空展を観て

 上野公園の東京国立博物館で円空展があり、2月20日の午後に足を運んだ。上野公園の改修工事が終わり、噴水付近は綺麗になっていたので良かったが、以前に多くいたホームレスの人たちの姿が見えないので、この寒い空の下でどこへ行ったのか気になった。  17世紀の後半に飛騨を中心にして、遠くは北海道まで足を伸ばした円空は、実に12万体もの仏像を彫ったとのことであるが、現在はその約5000体が残っている。その中の飛騨の千光寺を中心とした100体が会場に陳列してあった。手の平に乗るような小さなものから見上げるほどのものもあり、どれも表情や雰囲気が違うので1体ごとに楽しむことができた。ナタ彫りという荒々しい彫刻で、木目や節も活かし、彩色はしていないので樹木の肌がそのままである。もちろんナタだけで仕上げたわけでなく、杉や檜の丸太を縦に割り、それに鋸やナタで大まかな形を作り、ノミを使って仕上げをしている。その荒々しさや線の勢いがどれも生きているから凄い。  円空が訪ねた村で木を削り、それは村や個人の守り神になったり、時には子どもの遊び相手にもなったという。木に宿る仏を、円空は無心で形にしてきたのだろう。丁寧に仕上げて金箔をはった仏像とはおおよそ趣は異なるが、生きる力をどれもが伝えてくれる。なお写真のポスターにある像は、2つの顔を持つ両面宿儺(すくな)坐像で、両手でもつ斧と一緒に見る者を圧倒する気迫をかもしていた。  時間ができたら私も彫刻をしたいと考え、以前から材木を集め道具も準備した。しかし、定年になったが他のことで飛び回っているので、大小の材木は残念ながら埃をかぶったままである。ぜひ円空のように自由な像に挑戦したいものだが。  

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