2013-03-06

原発事故に関する4つの事故調査報告書について

 東電福島第一原発事故について、民間、東電、政府、国会の4つもの報告書が出ているのは知っていたが、どれも膨大な量で関心はあっても読み込むことはできずに気になっていた。図書館で、『4つの「原発事故調」を比較・検証する 福島原発事故13のなぜ?』(日本科学ジャーナリスト会議 水曜社 2012年12月)を見つけ一気に読んだ。凄い本で、ここで比較検証している13項目とは以下である。 Q.00  福島第1原発事故の全体像・推移と4事故調 Q.01  地震か津波か? なぜ直接的な原因が不明なのか? Q.02  ベントは、なぜ遅れたのか? Q.03  メルトダウンの真相は? なぜ発表は迷走したのか? Q.04  事故処理のリーダーは、なぜ決まらなかったのか? Q.05  東電の「全員撤退」があったか、なぜはっきりしないのか? Q.06  テレビ会議の映像に、なぜ音声がないのか? Q.07  なぜ「原子力ムラ」は温存されたのか? Q.08  なぜ個人の責任追及がないのか? Q.09  住民への情報伝達は、なぜ遅れたのか? Q.09+ 放射線被曝情報の誤解と混乱は、なぜ生じたか? Q.10  なぜ核燃料サイクル問題の検証がないのか? Q.11  原子力規制への提言が報告書によって違うのは、なぜか? Q.12  なぜ4報告書がこのまま忘れ去られようとしているのか? Q.13  なぜ4報告書には「倫理」の視点が欠けているのか?  読んでいてそら恐ろしくなったのは、事故の原因やその背景がどれでもきちんと解明してなく、これでは一番大切な原発事故の再発防止にはならないことである。その中でも一番まともな国会事故調は、せっかく15億円もかけた640ページもの貴重な報告書であるにも関わらず、すでに国会の神棚に飾られて埃が積もりつつあるのに等しい。民主党にせよ自・公政権にせよ、真面目に正面からこの原発事故に向きあおうとしていない証拠である。  この本でまだ足りないのは、原子力ムラは日本だけで存在するのでなく、1950年代からアメリカにおいて大きくなった国際原子力ムラが存在すること、そして日本を含めてそうした原子力ムラを支えている多くの人々の存在や価値観まで踏み込むことだろう。そうしないと本質にメスが入ることにはならないのではないだろうか。

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