2013-10-11

宮城県南部の被災地を訪ねて

10月2日から宮城県に入り、これまでは石巻市や気仙沼などは北側は何度か訪ねたが、今回は県南の被災地を中心に見てきた。地域としては、岩沼市、亘理町、山元町である。
 長い海岸線は、どこも10mほどの津波で被災し、松林も無くなるか、もしくは残っていても枯れて見るかげもない。平地は除塩を徐々に終え、山川では稲作ができるようになっていたが、海側はまだ作付けができなく、雑草の伸び放題の土地も少なくない。
 復旧・復興は進みつつあるが、現地で聞くといろいろな問題や課題も見えてくる。1つが防潮堤である。どこも7mほどの高さで工事し、さらには海岸と並行に走っている国道6号などをかさ上げし、二重の堤防にしようとしている。これらは海からの津波には効果的であるが、他方で大雨や台風などの内陸からの排水への配慮が不充分な場所があり地域で問題になっている。
 復興予算の使い方も問題が少なくない。山元町の三大農産物は、米・イチゴ・リンゴだが、復興予算の大半はイチゴにつぎ込み、水耕栽培での植物工場など巨大な施設ができ、農場なのか工場なのか見間違えるような風景に驚いた。均一な農作物ができ、日本の農業がこうなっていくのかと思うと、何か複雑な心境であった。
 ともあれ現地に行ってみないとわからないことは多い。来月も再度宮城県南部に入り、もっと多くの人から現在の被災地の動きを聞くつもりである。写真は植物工場の内部で、肥料は全て水に溶かしてパイプで流し、室内は温度や湿度をコントロールしている。