2015-08-18

全村民避難の飯舘村を訪ねて

 17日は早朝の風呂で、昨晩12時過ぎまで被災者と飲んだアルコールを飛ばし、7時半から飯舘村佐藤八郎村議から村の現状についてのレクチャーを受けた。6000人の村民全員が避難しているが、村長は議会にも計らず2017年には帰村するつもりとのこと。住民不在の政治が、国会だけでなくいろいろな場でおこなわれていて心配だ。
 その後、車2台に分乗して飯舘村を目指す。あいにくの雨の中、飯舘村に入ると森林の中に村落が点在している。持参した線量計は、0.5μSv/h前後をずっとさしている。国のいんちきな除染基準でも0.23μSvの倍であり、国際基準である年間1mSv(÷24h÷365日=約0.1μSv)に比べると5倍もの危険地域である。
 雨の中を何カ所かで除染作業をしていた。その廃棄物は、黒い1t入りのフレコンバックに詰めて畑や山すそに積み上げているが、それば半端な数ではない。中には積み上げたフレコンバックの上にビニールシートをかけ、メタンガスを抜くための煙突を立てている所もあった。
 そうした中で運営している特養老人ホームを訪ねた。震災当初は無理をして120名ほどの利用者を、各保護者に引き取ってもらうなどして村外へ避難させたが、どこも認知症や運動機能が悪化するなどし、また他の施設での引き取り交渉が成立せず、やむなく放射能の汚染が高い中で続けることにした。現在は41人の高齢者が暮らし、村外からの通いで52人の職員が対応している。無責任なツイッターでは、「老人を犠牲にしている」とあったらしいが、他に手立てがなく人命優先のやむを得ない判断であった。矛盾の中で生きていくしかない。そんな大変な中でも、職員の女性の優しい笑顔が印象的であった。次の本ではぜひ詳しく紹介したい。
こんなことまで強いている原発事故だが、いまだに東電も製造メーカーも政府も、誰一人として責任をとらない。第二次世界大戦から続いている集団無責任そのものである。

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