2015-09-13

「愛とヒューマンのコンサート」富山県魚津編

 8日の朝名立を出て魚津へと入る。都子(さとこ 当時29歳)さんの埋められていた場所はかなりの山奥で、土砂崩れなどがあって残念ながら入ることができず、はるか手前のキャンプ場の一角にモニュメントが設置してあり、そこで慰霊祭をおこなった。地元のコーラスグループであるサトコ合唱団が、都子さんの詩をもとにした「あなたの心に」を歌い、その後で「愛とヒューマンのコンサート」の松本克巳さんのヴァイオリンで、堤さんの大好きだった「タイスの瞑想曲」や、大前恵子さんの歌と一緒に「アベ・マリア」を演じた。
 20年前に山中から5年10か月ぶりに掘り出された遺体が、ふもとに降りてくるとき近くの多くの住民は、お線香やロウソクを手にして沿道に立ってくれた地域でもある。
 魚津には、女性中心のサトコ合唱団が以前から活動している。「あなたの心に」を静かに歌い終わると、最後に3つの鐘が鳴り、そのとき団員は右手を左の胸に当てて目を閉じる。都子さんを決して忘れない思いが良く伝わってくる。
 合唱団の皆さんが作った美味しい昼食を一緒にいただき、2時からは魚津障害者交流センターで「愛とヒューマンのコンサート」を開催した。
 広い部屋に、車椅子などを含めて50人ほどが集まっていた。開始前から奇声を上げたり、動き回っている人もいて、それまでのコンサート会場とは雰囲気が違う。サトコ合唱団の童謡などの後で、「愛とヒューマンのコンサート」のヴァイオリン松本克巳さん、ピアノ金沢恵理子さん、声楽家大前恵子さんの音楽が部屋中に流れた。演奏家の横にまで飛び出ていく人もいたが、1時間の終わりの頃になると和やかな顔つきになっていた。
 演奏家正面の壁面に、ストレッチャー式の車椅子で横になっている下半身不随の中年の男性がいて、演奏中は上半身を少し起こして写真などを一所懸命撮っていた。演奏が終わって少し話を聞くと、これまで10回の「愛とヒューマンのコンサート」には毎年参加し、最近では翌年のコンサートを楽しみにして1日1日を過ごしているとのこと。音楽の持つ力を再認識させてもらった。

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