2016-05-10

映画「飯舘村の母ちゃんたち 土とともに」を観て

 5月8日に東中野駅前のポレポレ坐を訪ね、前日から封切となっているドキュメント映画「飯舘村の母ちゃんたち 土とともに」を鑑賞させてもらった。全村民避難となっている(実際は13人が村にずっと残って暮らしているが)飯舘村から、伊達市の仮設住宅に入り生活している菅野榮子さん(79歳)と菅野芳子さん(78歳)の物語である。
 農家出身の2人は、仮設住宅の近くの畑を借り、土に触れて大根やカブなどの農作物を育て、それを漬物などにして美味しく食べている。身内を亡くし、また自分の病気などがあっても、土とともに生きる2人の姿をていねいに描いている。声高に原発反対とか、放射線が危ないとこぶしを振り上げているわけでなく、淡々と2人の日々をカメラは追いかけている。
 猫の踊り狂う姿も描いた熊本の水俣病の映像は、悲惨な現実をリアルに出して衝撃的であった。同時に、自然の中で暮らす3人の仕事を通して、誰にも現状を問いかけた新潟水俣病のドキュメント映画「阿賀に生きる」も印象的であり、今回の作品は後者の流れである。
 菅野榮子さんは、映画の中で「百姓は芸術家だ」と表現し、上映後の監督との舞台スピーチでは、何回も「ヒコのため」と話していて印象的であった。「子どもや孫のため」とはよく話すが、そのさらに先のひ孫のことも視野に入れているから凄い。
 2人が暮らしている伊達東仮設住宅は、「愛とヒューマンのコンサート」で何度か訪ねており、木造の仮設や顔見知りの人なども映像に出て懐かしく観ることができた。
 ぜひまた仮設を訪ね、2人からも今後についての話を聞きたい。

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