2016-06-10

飯舘村に帰村していいのか -6月前半の飯舘村訪問記ー

 6月5日から9日まで飯舘村の隣にある飯野町に宿泊させてもらい、8日に飯舘村を1日かけてまわった。2017年3月末を目途に、帰還困難区域の長泥地域を除き、飯舘村の規制を解除するとの国からの発表が6日にあり、地元の新聞では1面で大きく報道していた。
 これで村長をはじめとして帰りたい人は大いに喜んでいるが、同時に帰りたくても放射能の汚染がいまだに高くて帰村を躊躇し、さらには行政への不信を強めている人も少なくない。
 放射能の空間線量を測定する機器を持って飯舘村を廻ると、いたるところで驚く数値が今回もあった。すでに除染したある民家の庭で、雨どいの下が写真のように17.4マイクロ・シーベルトもあって一瞬足がすくんだ。年間にすると×24×365で152ミリ・シーベルトにもなり、これは国際基準1ミリ・シーベルトの152倍であり、大人の37兆個の全細胞が152回も破壊されるほどの高汚染で、重い病気になる危険性が極めて高い。
 そこまでいかなくても、1や2マイクロは村内にざらであった。危険で通行止めになっている長泥地域との境にある通行止めの場所も訪ねた。舗装した道路は2マイクロで、すぐ傍の草むらは5マイクロ近かった。小さなボックスから40歳ほどのガードマンが出てきたので、ボックスの中の線量を聞くと、「1.5マイクロ・シーベルトだから安心です」と平気で言うから驚いた。年間にすると約13ミリ・シーベルトにもなり、国際基準の13倍である。注意すると、「基準の20ミリより少ないから安心です」と笑顔で応えてきたので、開いた口がふさがらなかった。
 どうみても残念ながら飯舘村は、来年の春に村民が安心して帰村できる地域ではない。「風評被害を助長する」などと非難されるだろうが、現実はデータにもとづき直視するしかない。何よりも被災した村民の健康と命を守り、同時に日本国憲法に明記した基本的人権や幸福追求権を大切にし、それは我が身や家族の為にもなるから決してあいまいにできない。

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