2016-07-22

絵金祭り

 7月18日は、高知県赤岡町の絵金祭りを訪ねた。絵金とは、江戸時代の末期に活躍した絵師金蔵の愛称である。若くして絵の才能を認められ、18歳から江戸で狩野派に学び、土佐藩家老の御用絵師となって活躍したが、模写した絵を誰かがかってに烙印して販売したため、贋作事件に巻き込まれて追放となった。
 以来10年も行方が分からなかった絵金だが、赤岡で今度は庶民のため祭りに飾る絵などを描くようになった。歌舞伎の場面などを、それは勢いのある筆と原色に近い鮮明な色で仕上げ、見る人を圧倒させる。
 以前は赤岡だけでなく高知の各地の祭りで見ることができ、実家のある春野の祭りでも展示してあった。人体から飛び散る血などがあまりにもリアルすぎて、子ども時代の私は怖かった。
 若くして出世街道から奈落の底に落とされた絵金は、さぞかし罠におとしいれた人を恨んだことだろうが、絵の目的をしっかりと見据えなおし、今日に続く自由奔放で素晴らしい作品をいくつも残しているから凄い。人生の目的は肩書や金などでなく、自らの信念の追及であることを示しており、これほど私にとって嬉しいことはない。過大に美化されすぎた坂本龍馬よりも、私は絵金に親しみを感じる。
祭りでは地元の酒蔵が、1合の枡酒を購入して飲み干すと、何杯でもおかわりのできる振る舞い酒があった。それも冷たい美酒を、浴衣姿の若い女性が笑顔でついでくれる。4杯飲むと、すっかり気分が良くなった。
 

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