2016-09-21

飯舘村の暴走村政 9月村議会傍聴記

 9月7日からはじまった飯舘村の村議会が、最終日を迎えた16日に傍聴させてもらった。まだ0.36μSv/hと高い放射能汚染地である元の町役場へ7月1日より戻り、村議10名のうち出席した8名の前に、議長と副議長を中心にして村長や教育長など執行部15名が対峙していた。
 10時からスタートした主な議題は、平成27年度決算承認と平成28年度補正予算の審議であった。人口が6178人(1842世帯)のこの村で、以前は40億円から50億円の村の財政が、28年度の補正予算は倍以上の112億8757万円で可決した。復興の補助金を使い、豪華な公民館・道の駅・学校・保育園・スポーツ施設などの増改築が主な理由である。
 震災の前から村でも少子高齢化が進み、さらに道路際で1μSv/hも珍しくない高い放射能の汚染地に、どれだけの子どもを含めた村民が帰ってくるのか不明なのに、巨大な箱物だけができつつある。たとえば0歳から5歳までの保育園の規模である。小学校を1クラス30人学級にしているので、それに準じて保育園の1組を30人にしたと、村の担当者は説明していた。震災がなくても実現できる数でなく、私は開いた口がふさがらなかった。
 この7月から自宅での長期宿泊を村では可能とし、約150世帯の300人が届け出をしたが、実際に泊まっているのは高齢者中心の50世帯ほどとのこと。帰村したい気持ちはあっても、高い放射能は気になるし、隣近所に誰もいなければ不安で泊まるどころではないだろう。
 休憩をはさんで午後の2時前まで議論はあった。公民館に11億円、新しい道の駅に9億円、学校再開に34億円、スポーツ施設に23億円などの関連事業が可決となった。開設費は国の補助金で賄うからいいとしても、(実際は国民の税金だからこれも問題だが)、オープン後の電気代などのランニングコストや、老朽対策の維持費などは村財政で賄わなくてはならない。沖縄で米軍基地のある集落に、豪華な公民館などの公共施設ができ、その高額な維持費で自治体の財政が大きく悪化している。同じ愚を飯舘村でもしようとしている。村民の現状や要望に沿った村政でなく、復興の補助金を使えるだけ使ってしまうことが復興と勘違いしている思考停止が、村役場の幹部や保守系の村議にも顕著であった。
 こうした議論をやり取りしている間、村長はほとんど居眠りをしていてこれにも驚いた。ある議員に聞くと今日に限ったことはないそうで、「までい」(丁寧)な村政を口にしているのに、やっていることは真逆である。10月16日投票の村長選が、こうした暴走村政を変えるきっかけにぜひなってほしい。「積極的平和主義」と言いつつ、世界中で戦争のできるの準備を進める安倍首相と姿勢は同じである。
 写真は、役場や中学校近くの山の掘削風景で、平成30年3月までかかり、想像もできない117万㎥をも掘りだす計画である。ここでの山土は、除染のためはぎ取った田畑に入れている。小山がひとつ消えつつあ
る。
 

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