2017-06-29

被災地で野の花を活ける

 24日の夕方から、あすなろホームの前の理事長である高井文子さん宅を訪ねた。高齢で病気にもなり理事長は交替されたが、理事として今もあすなろホームやグループホームSUNを応援している。
 その1つが、SUNの利用者さんたちに教えている活け花で、その方法がユニークである。利用者の7人と一緒に近くを散歩し、途中の道端でそれぞれが気に入った野草の花や小枝などをつんで持ち帰る。それを使って活けるのだが、花器も市販の花瓶でなく、日常に使用するどんぶりなどの食器やペットボトルなどを切って加工した器で、中に剣山を置いて花や枝を立てる。それも活け花の流派が大切にしている形でなく、この花が人間であればどのように飾ると一番嫌味もなく美しく見てもらえるかと考えながらしている。花と葉や小枝の関連を人間のコミュニケーションに置き換え、利用者さんの一人ひとりの判断を重要視しているからおもしろい。
 利用者さんにしてみれば、高井さんから言われたとおりに花を活けるのでなく、自らの友人関係に引き付けて自由に考えて草花をセットできるので、きっと楽しいことだろう。それぞれが活けた花は、各自の部屋に持って帰って飾っているし、ときには地域の方たちをSUNに招き、みんなで活けた野の花を楽しんでもらう場も作っている。そうした場で地域の方たちが喜んでくれれば、障がいをもった利用者さんには自信につながり、より情熱を持って活け花を暮らしの中に取り込んでいくことだろう。
 福祉文化という言葉があり、専門の本や学会もできている。高井さんが進めているように障がい者の方の自由な発想で花を活け、それを日々の暮らしの中で愛でて人生を楽しむことが、福祉文化にもきっとつながっていくことだろう。ところで福祉は障がい者や高齢者だけを対象にしてなく、元々は幸せを意味するので、私も含め全ての人にとって大切なことである。野の草花を私ももっと愛でてみたい。
 写真は野の草花が生い茂る陸前高田の広い被災地。

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