9月5日の朝4時過ぎに眠い目をこすりながら家を出て常磐線に乗り、上野駅から新幹線で一ノ関へ行き、乗り換えて気仙沼経由で陸前高田へ入った。自費の取材のため経費を安くするため、今回はJRの東北フリーパス券を使い、通常では片道で1万5000円ほどするが、往復で同じ額だからそれは助かる。もっとも使えるのは年に数回で、それも4日間だけだから限定的ではあるが。
津波が襲った陸前高田の市街地は、今も7mほどのかさ上げ工事が進み、すでに完成した中央部には大きなショッピングセンターや児童公園が完成し、また夏に図書館もオープンしている。そこのバス停で下車し、持参した折り畳み自転車を組み立てて目的地の「あすなろホーム」をめざした。
12時からの誕生日会に参加させてもらった。職員さんたちからのサイダーや菓子の差し入れがあり、昼食を兼ねてバースディパーティーの歌などもあった。
顔なじみの利用者さんも何人かいて挨拶もした。その一人の30歳半ばのマー君は、今回も次作の詩をいくつか見せてくれた。その1つである。
「手をとりあって
仲間が一人でも 氷のようにかたい
ながれる 氷もあるんだって
ぼくでも よければ
手を とりあって行こうよ
作業場近くまで ながれるように
手の平の チカラをあたえもらい
ぼくは ただ仲良くしたいだけだし
仲間が一人でも ながれすぎて
つらそうな時 みてみぬふりって
ぼくは もうしたくないんだ
だから そう手をとりあって
心のいやせる しゅんかんを
ぼくは 仲間といっしょに
いたいだけなのだ」
ダウン症の障がいが少しあるマー君は、原稿用紙に書くにも時間がかかったことだろう。日頃の作業所での一コマを、ていねいに描いていてホッとする素敵な詩だ。
取材ではこうした人に会うことができるので楽しい。
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