2017-11-10

「今だけ、金だけ、自分だけ」の農政からの脱却を ~農民連関東ブロック研究交流集会に参加~ 

 11月8,9日と秩父にて農民連関東ブロック研究交流集会があり、会員ではないが農業や農家の現状を知りたくて参加させてもらった。東大の鈴木宣弘教授による特別講演「TPPを超える危機!日米FTA・日欧EPAで私たちのくらしは」が1時間半ほどあり圧巻であった。A4版で24枚もある資料を使い、それもメモを取るのも追いつかない早口で進んだ。
 農水省に15年もいただけに政治の裏側にも詳しく、安部政権になっていかに国民を無視した政策が暴走しているのか具体的に話していた。例えば今年の春に国会でほとんど議論せずに廃止した種子法で、日本人の食生活に不可欠な米・麦などの大切な種子を、アメリカの企業に開放する道筋をつけた。そのため「亡国の種子法廃止」とまで言い切った。悪影響は農家だけでなく、消費者や生協にも必至だろう。その割には生協の反応が一部で、全体として鈍く残念である。
 「国民のため」と口先では言っているが、実態は企業の金儲けが最優先である。遺伝子組み換え種子と農薬をセットにして世界中で販売しているアメリカのモンサント社は、人の健康被害が増えることを見越してドイツの製薬メーカーのバイエル社を買収し、さらに利益拡大をすすめている。TPPがストップしたかと安心していたら、TPP11となって動いている。それも詳しい交渉内容が明らかにならないので、どんな影響が出るのか心配である。
 最後に鈴木さんが強調していたのは、「自分たちの安全・安心な食と地域の暮らしは自分たちで守る」ことで、スイスのように生協と農業生産者団体が、国レベルでの協定書を結ぶなどしていることをヒントに示しまさに共感できた。
 名刺交換させてもらい、後日に連絡して研究室訪問の約束をさせてもらった。
 9日の午前中は討論の時間で、10数名の参加者から各地での取り組みの報告があった。2015年の1年間で農作業中に死亡事故は338件もあり、65歳以上が84%で80歳以上が47%とのこと。いかに高齢化した農家に過酷なしわ寄せがいっているか知って驚いた。消費者や生協は安さを求めることも大事だが、こうした農家の現実を直視し、一緒になってどのような社会や食や農業にしたいのか話し合うことが重要だと強く感じた。
熱く講演する鈴木教授
 

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