2018-11-24

ネパールの旅3

 今回のツアーの目的の1つが、この4月から里子になった1人の母親が、夏に自殺したとのことで、理由や里子のその後を知るためであった。カースト制の最下層であるダリットの子どもで、若い夫婦は大きなスワヤンブナート寺院、猿が多いので別名は猿寺院といわれている境内の数か所あるトイレの清掃をし、そのチップで親子4人が暮らしていた。住まいは、トイレの前にある寺の建物の軒下に造った小部屋であった。ダリットの里子支援をお願いしているバラット夫妻の話では、夫がアル中で暴力を妻にふるい、さらには妻の妹にも手を出すなどしたため生きる希望をなくし自殺したとのことであった。
 可愛く幼い子ども2人を残しての自殺は、どれほど辛く切ないことだっただろう。きっと何回も迷ったと思う。子どものためにもどうにかして生きていてほしかったが、これが現実である。
 小部屋を訪ねると、無精ひげをはやした夫がいた。2人の子どもは遠くの施設に預けているため、里子支援は今年で残念ながら終わりにするしかない。4月に撮った下の写真を渡すと、悲しそうな顔でジッと見つめていた。母親が首をつった木は、そこから見える場所に立っていた。笑顔の消えたであろう2人の子どもを思うと、何ともいたたまれない重い気持ちになって寺を降りた。

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